Technical Guide
ISOフランジとは
国際標準化機構(International Organization for Standardization)「ISO 2861/JIS B 8365」および「ISO 1609/JIS B 2290 」で定められた規格のフランジです。センターリングと呼ばれる、金属製の環に固定したゴム製Oリングによるシール方式で、繰り返し使用することができ、主に高真空領域までの真空排気系で使用されています。ISOフランジは形状、固定方式共に複数ありますが、着脱が容易である点が大きな特徴の一つです。日本国内ではNWフランジという呼び名も一般的です。ちなみにNW63以上は規格には定められていません。
ISO規格フランジの種類
- ISO-KF(別名:NW、クイックカップリング)
ボルト穴はなく、クイックリリース式のクランプで固定するフランジ
このフランジをチャンバなどの壁面に直接取り付けるためのバルクヘットクランプ(ボルト固定式)もあります。
![]() 図1. クイックリリース式クランプ |
![]() 図2. バルクヘッドクランプ |
- ISO-LF(別名:ISO-MF、ISO-K)
ボルト穴はなく、フランジの周囲に掘られた溝にクロークランプをひっかけてボルト留めするフランジ()
ISO-LFフランジ同士を締結するためのダブルクロークランプと、このフランジとISO-BTフランジを締結する、またはチャンバなどの壁面へ取り付けるためのシングルクロークランプがあります。
図3. ダブルクロークランプ
- ISO-BT(別名:ISO-F)
ボルト穴があり、相手フランジまたはチャンバなどの壁面へボルト留めするフランジ
センターリングを使用する以外は、JISフランジやICFフランジ等、他の種類のフランジの締結方法と同じです。
表1. ISO-KFフランジ規格表
表2. ISO-LFフランジ規格表
表3. ISO-BTフランジ規格表
図4. ISO-KFフランジ
図5. ISO-LFフランジ(オレンジ色)、ISO-BTフランジ(青色)
取り扱い上の注意
- シール面を傷つけないように、未使用時にはキャップなどで保護してください。
- 長期間使用したOリングには変形や変質がみられる場合があります。そのような場合は新品と交換してください
- ISO-KFフランジに使用するクイックリリース式クランプでは、蝶ネジ部にグリスを塗布すると締め付けが容易になります。
- わずかなゴミが真空リークの原因となるため、使用前にはOリング、フランジシール面共にエタノールなどで拭いてください。その際、円周方向に手を放さずにぐるっと一周拭うのがポイントです。可能な限り素手では取り扱わず、ゴム手袋などを着用の上で作業することを推奨します。
センターリングについて
本Webサイトでは各フランジの呼びをNW基準で表記していますが、同じ呼び径の物であれば各タイプのフランジに共通して使用することができます。
センターリングには、インナーリングのみのものとアウターリング付きのものがあります
![]() 図6. インナーリングのみ |
![]() 図7. アウターリング付き |
![]() 図8. アウターリング付き(H型) |
フランジの締め方
- Oリング溝とシール面にゴミや傷がないか確認します。放射方向に繊維状のゴミや深い傷が入っていると、真空リークのリスクが高くなります。
- Oリング表面とシール面をエタノールなどで拭いて脱脂とゴミの除去を行います。
ISO-KFフランジ
- クイックリリース式のクランプで締め込みます。
ISO-KF(バルクヘットクランプタイプ), ISO-LF, ISO-BTフランジ
- Oリングを嵌めたらボルト穴位置を合わせてフランジを重ね合わせ、ボルトとナットで挟み込んで手締めで軽く締め付けます。
- 工具を使用して対角締めを行います。
- 最後に1周して緩みが無いことを確認します。