Technical Guide
真空ポンプとは
真空ポンプは、密閉された空間内の気体を外部に排出することで、内部の圧力を下げる装置です
低~中真空 高真空という区別につきまして、詳しい解説は下記の記事をご参照ください。
主な使用領域が低~中真空のポンプ
液体封止ポンプ
油回転ポンプ(ロータリーポンプ)油回転ポンプは、ロータと呼ばれる羽根を回転させることで気体の吸気、圧縮、排気を行っており、充填された油(オイル)によってその潤滑性と気密性を高めています。最も利用されているポンプの一つであり、よく他のポンプと組み合わせて使用されます。 |
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水封ポンプ水封ポンプは、羽根車(翼車)の回転によって、封液(水)をポンプケース内壁に押し付けてシールを行いながら、気体を移送する真空ポンプです。封液は遠心力によりポンプケース内壁に沿って回転し、羽根と液膜に囲まれた空間が形成されます。偏心させることにより、この空間は容積を変化させ、順次膨張する膨張室と順次圧縮される圧縮室となります。これにより、吸気口と排気口を適切に設けることで、羽根車の回転に合わせて気体を圧縮し排出する機能をします。 |
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ドライポンプ
メカニカルブースターポンプ(ルーツポンプ)ルーツポンプは、ポンプケースの中にお互いに反対方向に回転する一対の8の字形ロータにより気体を輸送する真空ポンプです。 |
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多段ルーツポンプ単にドライポンプと呼ぶ場合、この多段ループポンプを指すことが多いです。 |
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スクロールポンプスクロールポンプは、インボリュート曲線※1で形成された固定スクロールと旋回スクロールを組み合わせた構造を持ちます。各々のスクロールを180度ずらした状態で組み合わさっていて、これらをお互いの揺動運動させることにより吸引気体を大気圧まで圧縮する真空ポンプです。 ※1 インボリュート曲線・・・円に巻き付けられた糸を絶えず伸ばしながら開いていくときに糸の端面が描く伸開線 |
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スクリューポンプスクリューポンプは、一対のスクリュー形ロータを非接触で互いに反対方向に等速度で回転させ、吸引した気体を圧縮して排気する真空ポンプです。 |
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クローポンプクローポンプは、非接触で互いに反対方向に等速度で回転する爪状の突起を持つ一対のクロー形ロータが、吸引した気体を圧縮し排気する真空ポンプです。ステータとロータでセルフバルブ機構を構成し、極力逆流を防ぎ、効率よく排気できる構造となっています。 |
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ダイヤフラムポンプダイヤフラムポンプは偏心回転軸に取り付けられて上下運動するダイヤフラムとポンプヘッドとの空間の拡大・縮小につることにより気体を輸送する真空ポンプです。 |
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ソープションポンプソープションポンプは、モレキュラーシーブ(多孔性物質であり、人口沸石の一種、穴の径は分子直径に近く、吸着量や吸着平衡圧に優れた特性を持つ)や活性炭などの吸着材を液体窒素で冷却し、分子を吸着させて気体を除去する真空ポンプです。 |
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主な使用領域が高真空
ターボ分子ポンプターボ分子ポンプは、気体分子に特定の方向の運動量を与え、排気する真空ポンプです。排気作用を生み出すための翼列(高速回転する動翼と軸方向に対向するように配置された翼列である静翼が軸方向に交互に組み合わされた多段構造)を持ちます。 |
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クライオポンプクライオポンプは、ため込み式ポンプの一種です。真空ポンプ内に極低温面を形成することで、物理吸着を利用して、ここに飛び込んできた容器内の気体分子を凝縮または吸着させて捕捉し排気します。 |
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油拡散ポンプ油拡散ポンプは、作動液の蒸気を気体中に噴出させ、吸気口より飛び込んだ気体分子が蒸気流の方向に運動エネルギー与え、気体を圧縮し排気する真空ポンプです。吸入気体が分子流領域の場合に効率よく作動します。一方、真空側に油蒸気が逆流するため、必要に応じて、吸気口に逆流を防ぐトラップやバッフル等の気体が使用される場合もあります。 |
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主な使用領域が超高真空 極高真空
ゲッタポンプ(サブリメーションポンプ)
ゲッタポンプは、ため込み式ポンプの一種で、チタンやタンタル、モリブデン、ジルコニウム、アルミニウム、バナジウムやそれらの合金の化学的に活性な材料が化学吸着する(ゲッタ作用)により気体を排気する真空ポンプです。
このポンプは、分析機などに使用される超高真空用のポンプで、イオンポンプと併用で超高真空が得られます。
到達真空度:10-9 Pa台
イオンポンプ
イオンポンプは、イオン化された気体分子による陰極スパッタリングや強い平行磁界中で高電圧を印加し、ペニング放電を起こすことにより、イオン化された気体分子が陰極に衝突し、陰極に埋め込まれることより陽極上に活性なゲッタ面を連続に作り、排気を行う真空ポンプです。
このポンプは、ゲッタポンプと似ていますが、スパッタにてチタン原子をイオン化させることで、ゲッタポンプでは難しいArやHeなどの希ガスについても効率よく排気することができます。動作範囲が、高真空からになるため、粗びきが必要です。
到達真空度:10-10 Pa台
真空ポンプの使用範囲







