真空技術ガイド
Technical Guide
真空乾燥装置

真空を利用して水分を除去する装置です。
急速乾燥や凍結乾燥(フリーズドライ)など、さまざまな方式があります。
また、大気中では乾燥が難しい吸湿性の高い材料や微細構造をもつワークの乾燥にも適しています。
真空乾燥真空環境を利用して水分を蒸発させる乾燥方法で、減圧乾燥とも呼ばれます。減圧下では液体の沸点が下がるため、室温以下でも素材中の水分を効率的に蒸発させることができます。 |
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凍結真空乾燥固体の昇華作用を利用し、低温・低圧環境下で乾燥させる方法です。対象物をあらかじめ急速冷凍した後、乾燥室を減圧して真空状態にすることで、氷が直接水蒸気へと昇華します。 色調や成分の変化が少なく、乾燥後に水を加えると高い復元性を示す点が大きな特長です。一方で、専用の装置が必要となり、導入コストは比較的高価になります。 |
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なぜ真空が必要なのか?
沸点の低下
真空環境では沸点が下がり、低い温度で水分を蒸発させることができ、熱による成分の変化を防ぎます。
酸化の防止
大気中の酸素によって材料が酸化することがありますが、真空環境では酸素濃度が減少するため、酸化を抑制することができ、食品などの品質の劣化を防ぎます。
不純物の混入防止
大気中に存在する不純物がワーク表面へ付着すると、汚染の原因になります。真空環境ではこれらを排除できるため、クリーンな環境での処理が可能となります。
主な用途・使われる業界
化学薬品、医薬品、食品などの幅広い分野で活用されています。
メリット・大気圧乾燥との比較
メリット
- 通常より低い温度で乾燥が可能。
- 乾燥の速度を上げるために加熱しても、酸素濃度の低い真空状態下では表面酸化を起こしにくい。
- 熱や酸化に弱い対象物でも乾燥できる。
デメリット
- 粘土のような固液混合物など、乾燥時に収縮や変性が伴うような物に対しては、凍結乾燥では形状を維持することができるが、真空乾燥では外観に影響が出る場合がある。
- 水蒸気を排気できる真空装置が必要となるため、コストが高くなる。
装置例・構成部品の紹介
真空乾燥装置の構成は、主に以下の要素から成り立っています。
真空チャンバー
乾燥したい物質(ワーク)を収容し、真空環境を作り出すための容器です。
冷却トラップ
蒸発させた気体を個体に凝集させて補足します。
真空ポンプ
真空チャンバーの圧力を下げるために使用します。
ヒーター
水分などが蒸発すると、気化熱でワークが冷却されて蒸発速度が低下したり、凍結したりしてしまうため、それらを防ぐ目的で設置します。
装置事例
当社にて製作した真空乾燥装置の事例です。
![]() 調圧真空乾燥装置 |